【企画趣旨】

行政の厳しい財政状況の中で，インフラ事業の実施や老朽化したインフラの更新需要等に応えるためには，PFI/PPP等の民間資金の活用方策を考える必要があると言われています。一方で，投資家の中には，株価下落や景気によって不安定な動きを見せる金融市場において，安定してリターンを得ることのできるファンドを探し求めている投資家がいます。これらの資金がインフラの整備や更新，維持管理，運営を担うインフラファンドに流れ，オーストラリアを始め海外においては，インフラファンドがビジネスとして定着しつつあります。国内においても，PFI事業に係る金融市場を整備するために官民連携インフラファンドの創設を国が中心となって進めています。

12月号は，2011年締めの意味から世界的に注目されているインフラファンドに焦点をあて，関連する専門家の方々に国内外のインフラ整備，運営，民間資金活用などの現状と今後の課題，将来展望等について分かり易く語っていただく企画趣旨です。

巻頭文●「インフラファンド」を日本の改革の突破口に

慶應義塾大学　総合政策学部　教授　上山信一

総説●インフラファンドの最新動向

（株）野村総合研究所　主任研究員　福田隆之

特集●海外投融資の再開と官民連携によるインフラ整備支援

（独）国際協力機構　民間連携室　課長　安井毅裕

特集●金融機関からみた改正PFI法の可能性と課題－公共セクターRM及びファイナンスの視点から－

（株）日本政策投資銀行　公共RMグループ　課長　足立慎一郎

特集●インフラファンド最前線－本格化の兆しを見せる新興市場国への投資拡大－

丸紅経済研究所　副所長　猪本有紀

特集●わが国のPFIへのインフラファンドの導入－PPPファンド導入への留意点・課題－

みずほ総合研究所（株）　事業本部　主任研究員　石川裕康

定期連載

ドボクマニアックス／送電鉄塔

送電鉄塔写真家　長谷川秀記

世界の土木遺産●マレー鉄道タンジョンパガー駅－海峡植民地とその始発駅－

ペリディアンアジア　シニアプロジェクトマネージャー　仲川岳人

世界のインフラ事情●ジャカルタ（インドネシア）の汚水管理に関する協力

（独）国際協力機構　地球環境部　環境管理第一課　課長　野田英夫

世界から見た日本●世界から見た日本の土木

（株）大林組　海外支店　部長　濱島明道

技術開発最前線●スコットランドの再生可能エネルギー開発－官民の力を最大活用し、全電力を自然エネルギーで賄う－

スコットランド国際開発庁　シニア・アカウント・エグゼクティブ　　金谷保恒

PPP最新事情●熊谷組グループの道路事業への新たな取組み－白糸ハイランドウェイ事業運営参画の経緯と展望－

（株）熊谷組　プロジェクトエンジニアリング　室長　大島邦彦

（株）ガイアート・K　専務　中川　均

（株）ガイアート・K　経営企画　部長　鈴木　泉

女性技術者からの話●子どもの成育環境からみるサステイナビリティ

横浜国立大学大学院　都市イノベーション研究院（建築）准教授　田中稲子

若手技術者からの話●メンテナンス技術の高度化に向けた取組み

川崎重工業株式会社　技術研究所　

強度研究部　杉浦　江

土木技術アーカイブス（第24回）●「今後の電源開発と河川総合開発」土木技術昭和27年８月号

東洋大学　国際地域学部　教授　松浦茂樹

予定目次

編集後記

バックナンバー

地域の話題と情報（都道府県）●水害に強い地域づくり－滋賀県における減災の取組み－

滋賀県　土木交通部　流域政策局　

主任技師　中西宣敬

地域の話題と情報（市町村）●立佞武多をキーワードとした中心市街地の再生

青森県　五所川原市　建設部　

課長　北川智章

海外の契約約款解説●FIDICの解説（12）　ジ・エンジニアによるクレームの処理手続きと契約の終結

海外建設協会　国際建設プロジェクトアドバイザー　内藤誠二郎